TVCMの効果測定をROIベースで可視化!事業成果に直結させる3つのステップ

TVCMはブランド認知を高める上で非常に強力な手段ですが、「本当に事業KPIに貢献しているのか」という問いに対し、明確に答えられる企業は多くありません。

「なんとなく効果がある」「ブランドリフト調査では好調だった」といった曖昧な評価に終始すると、次期予算の獲得や投資判断の精度が低下し、貴重な広告費が無駄になるリスクがあります。

本記事では、従来の測定方法の限界を解説した上で、TVCMの成果をROI(費用対効果)ベースで定量的に可視化し、事業成果に直結させるための具体的な3つのステップと、最新の測定ツール選定基準を、専門家の知見から徹底解説します。


TVCMの効果測定が「曖昧」に終わる根本的な課題

TVCMの効果測定が難しくなりがちなのは、その評価指標が事業の最終目標から遠く離れているためです。

従来の「ブランドリフト」や「認知度調査」の限界点

TVCMの効果測定として最も一般的に行われるのが、ブランドリフト調査認知度調査です。

調査方法目的測定できること根本的な課題
認知度調査ターゲット層へのリーチCM放映前後の「純粋想起率」「助成想起率」の変化売上やCVへの直接的な貢献度は不明
ブランドリフトブランドイメージの変化購買意向や企業イメージ、広告の好意度の変化態度変容は計測できても、経済効果は不明

これらの調査は、CMがターゲットの「心に響いたか」という定性的な成果を把握するには有用です。しかし、マーケティング投資の最終的な責任は売上や利益であり、態度変容が具体的な事業KPI(例:指名検索数、資料請求数、売上高)にどの程度貢献したかを説明できなければ、投資効率の検証として不十分と言わざるを得ません。

代理店のレポートだけでは社内説明が難しい理由

広告代理店から提出されるレポートの多くは、CM枠の購入状況やGRP(延べ視聴率)、リーチ率といった「配信効率」が中心です。

これらは広告運用の専門家にとっては重要ですが、経営層や他部門の視点から見ると、「これだけの広告費を投下して、結果的にいくら売上に繋がったのか?」という問いに直接答えることができません。

抽象的な指標で終わらせず、「投資した広告費に対して、貴社の事業KPIにどの程度インパクトを与えることができたのかを定量的に可視化する」ことが、社内での意思決定を円滑にする鍵となります。

【経験談】「なんとなく効果がある」で予算を使い続けた結果起きたこと

過去の広告戦略において、「今回はブランドイメージが向上したから良しとしよう」という定性的な評価でTVCM予算を使い続けた経験があります。

その結果、競合他社がデジタル広告で獲得効率を追求する中、弊社だけが獲得単価(CPA)が改善せず、全体のマーケティング費用対効果(ROI)が低下し続けました。

定量的な測定を疎かにした判断は、短期的な予算の浪費に繋がるだけでなく、中長期的な事業成長の機会損失を招きます。成果が不明確な施策は、真っ先に予算カットの対象となるため、曖昧な評価から脱却することは事業を守る上で不可欠です。


事業KPIに直結させるTVCM効果測定の「新しい考え方」

現代のTVCM効果測定は、認知度ではなく、「事業KPIへの貢献度」を主軸に置く必要があります。

認知広告の効果を「事業KPIベース」で定量的に可視化するとは?

TVCMは「認知」を担う施策ですが、その効果は必ずデジタル上の行動に現れます。追うべき「事業KPIベース」の定量指標は以下の通りです。

  1. 指名検索数: 企業名や商品名の検索ボリューム(最も直接的な指標)
  2. オーガニック流入数: TVCM放映期間中・後の、サイトへの自然検索経由のアクセス数
  3. 直接流入数: URLを直接入力またはブックマーク経由でのサイト訪問数
  4. CV(コンバージョン)数・売上高: 資料請求、無料体験申し込み、またはEC売上などの最終成果

これらのKPIを追うことで、CMが認知の「きっかけ」となり、最終的な成果に繋がるまでのプロセスを可視化できます。

ROI(費用対効果)を算出する計測ロジック

TVCMの効果を事業KPIへの貢献として捉えるためには、単なるアクセス数の増加ではなく、「純粋にTVCMがもたらした貢献」を抽出する必要があります。

一般的なROI算出には、以下のロジックを用います。

CMの純粋な効果=(CM放映期間中のKPI)−(CMがない場合の自然なKPI成長)

この「CMがない場合の自然なKPI成長」を正確に見積もるために、ノイズ(外部要因)を除去する高度な分析が不可欠になります。

【重要】「ノイズ」を除去し純粋な効果を抽出する精度の高い分析方法

TVCM放映期間中は、季節要因、競合他社のキャンペーン、Web広告、PR施策など、様々な要因(ノイズ)が同時に発生しています。これらのノイズを考慮せず単純に「CM放映後にアクセスが上がった」と判断すると、過大評価や過小評価に繋がります。

精度の高い効果測定では、以下のデータを統合し、全相関分析を行うことで、ノイズを除去したCMの純粋な貢献度を明らかにします。

  • CMの出稿データ(放送局、時間帯、費用)
  • Web広告の出稿データ
  • 季節性やトレンドデータ
  • 指名検索数やCV数などの事業KPI

このように複雑な要素を分析し、施策によって得られたものが何かを可視化する分析力こそが、今後の投資判断のわかりやすさや効率的な配信手法の特定に繋がります。


TVCM効果測定を成功に導く3つの実践ステップ

TVCMの効果をROIベースで可視化し、次の投資に活かすための具体的なステップは以下の通りです。

ステップ1:分析に必要な「4つのデータ」を収集・連携する

まずは分析の土台となるデータを整備します。異なる場所に散らばっているデータを連携させることが重要です。

データカテゴリ具体的なデータ例目的
広告配信データGRP、CM枠の詳細(放送局、時間帯)、費用CMの「投資」状況を把握する
検索データGoogle Search Consoleの指名検索数、トレンドデータCMによる「認知の増加」を把握する
訪問データGoogle Analyticsの訪問数、流入経路、滞在時間CMからの「Web行動への影響」を把握する
成約データCRM/基幹システムの資料請求数、売上高CMによる「最終成果」への貢献を把握する

特に成約データまでを統合することで、マーケティング施策をなんとなくで終わらせず、可視化・ダッシュボード化する土台が完成します。

ステップ2:施策とKPIの「相関分析」を実施する

データを連携した後、統計学的な手法を用いて「CM放映とKPI増減の関係性」を分析します。

  • 時系列分析: CM放映前後でKPIが統計的に有意な変化を示したかを確認します。
  • 回帰分析/マーケティング・ミックス・モデリング(MMM): 全てのマーケティング施策やノイズ(季節変動など)を考慮に入れ、TVCMが個別にどの程度KPIを押し上げたかを数値で算出します。

このステップで、Fact(事実)から仮説・示唆を導き出し、CMがどの時間帯、どの放送局で最も高い効果を発揮したかを特定します。

ステップ3:分析結果に基づいた「最適な投資判断」を行う

定量的な貢献度が明らかになったら、最後にCMの「直せる化」(改善と修正)を実行します。

  1. 配信効率の改善: 効果が低いCM枠への投資を削減し、高い効果が見られた放送局や時間帯に集中する。
  2. サチュレーションポイントの特定: どこまでCM投資を増やせばKPIが伸びるのかという限界点(サチュレーションポイント)を見極め、無駄な過剰投下を防ぐ
  3. デジタル施策への連動: CM視聴後のユーザーが検索したキーワードを特定し、Web広告(リスティング広告など)の予算配分やクリエイティブを最適化する。

これらのステップを踏むことで、CM投資が「感覚」ではなく、「データ」に基づいた改善と修正を伝え抜く戦略的な投資へと変貌します。


MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)との比較と最新ツールの選定基準

効果測定の精度を高める手法としてMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)がありますが、導入にはハードルがあります。

MMMのメリット・デメリット

MMMは、様々なマーケティング要素間の相互作用をモデル化する高度な分析手法です。

  • メリット: 全ての施策(オフライン・オンライン)の中長期的な貢献度を客観的に評価できます。
  • デメリット: データ蓄積期間(通常2~3年分)が必要、導入コストが高額、分析に専門的な知識が必要、分析結果が出るまでに時間がかかる

特に「今すぐ効果を可視化して予算を最適化したい」というニーズには、MMMは即効性が低いのが現状です。

【低コスト・短期間】で事業KPIを可視化できるソリューションの選び方

短期的な意思決定とROI改善に注力したい場合は、MMMより迅速に成果を出すソリューションが適しています。ツール選定の際は、以下の基準をチェックしましょう。

  1. 事業KPIとの連携性: 指名検索数だけでなく、CVや売上など、企業の基幹データとの連携が容易か。
  2. ノイズ除去の精度: 季節性やWeb広告など、複数のノイズ要因を自動で考慮し、CMの純粋な効果を算出できるロジックが組み込まれているか。
  3. アクションへの繋げやすさ: 分析結果がグラフやダッシュボードで「見える化」され、次の配信戦略を立てやすいか(どの枠を増やし、どの枠を削るべきか)。

Q&A:少額のテスト配信でも効果測定は可能ですか?

はい、可能です。 CM効果測定は大規模な予算でなければ意味がないと思われがちですが、データ分析の考え方は予算規模に依存しません。むしろ少額のテスト配信時こそ、「どの時間帯・クリエイティブが最もROIが高いか」を検証し、本格投下前に最適な勝ちパターンを見つけることが重要です。


まとめ:テレビCMの効果を最大化し、成果を出すための次のアクション

TVCMの効果測定をROIベースに転換することは、マーケティング部門の投資効率を飛躍的に向上させ、企業全体の成長に貢献します。

本記事の要点を振り返ります。

  1. 評価軸の転換: 認知度やブランドリフト調査ではなく、指名検索数やCV、売上といった事業KPIで成果を測る。
  2. ノイズ除去: 季節変動や他施策の影響を排除した「純粋なCM貢献度」を定量的に抽出する。
  3. 3つのステップ: データ連携 → 相関分析 → 投資判断のサイクルを回す。

bfj Scopeが提供する、成果を可視化・改善するソリューション

弊社bfjは、「施策をなんとなくで終わらせず、可視化・ダッシュボード化する」ことをミッションに、TVCMを含む認知広告のROIを最大化するご支援を行っています。

  • 見える化: 貴社の事業KPIにフォーカスし、ノイズを除去した純粋なCM貢献度を定量的に可視化します。
  • 言える化: Factに基づいた分析結果から、今後の投資判断を明確にする示唆を導き出し、社内への「言える化」をサポートします。
  • 直せる化: 出した示唆を元に、体制・育成・運用まで、改善と修正を全てやり抜くご支援をお約束します。

TVCMの投資効率に課題をお持ちでしたら、ぜひ弊社のbfj Scopeサービス資料をご確認ください。御社の事業成長にコミットいたします。

この記事はいかがでしたか?

ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

村田諒

村田諒

1992年生まれ。 2016年に株式会社キャスターへCMOとして入社し、全社のマーケティング戦略を統括。取締役を経て2023年の東証グロース市場上場に貢献。 2025年よりbfj株式会社の取締役に就任。「bfj scope」のサービス責任者として、経営とマーケティングを接続する新たな認知広告効果のROI可視化を推進。