TV CM出稿における重要指標 「GRP」とは何か?
テレビCMの出稿を検討する際、必ず耳にするのがこの「GRP(Gross Rating Point)」という言葉です。GRPは、テレビCMの効果を数値で見える化し、広告戦略の成功を左右する極めて重要な基本指標です。
本記事では、このGRPの定義、正しい計算方法、スポットCMにおける役割、そして現代の指標であるTRPとの違いまでを徹底解説します。
2. GRP(Gross Rating Point)の基本を理解する
GRPの定義:テレビCMの「延べ視聴率」
GRPとは、Gross Rating Pointの略で、日本語では「延べ視聴率」と訳されます。
これは、一定期間に放送されたテレビCMの視聴率をすべて合計した数値のことです。広告がどれだけのボリューム(量)で視聴者に届けられたかを示す指標であり、主にスポットCM(番組を指定せずに時間帯枠で購入するCM)の取引単位として用いられます。
なぜGRPが重要なのか
GRPは、テレビCMの「投下量」を客観的な数値で把握し、予算と効果を関連付けるための基本指標です。
- 広告投資の規模決定: 「今期は1,000GRP投下する」といった形で、広告出稿の規模を定める基本単位となります。
- 出稿費用の根拠: GRP1%を獲得するためにかかる費用を示す「パーコスト(%コスト)」と掛け合わせることで、CM出稿費用が決定されます。
パーコストとは
GRP1%を購入するためにかかる費用を示す指標です。このパーコストの金額は、放送局や地域、時間帯、時期によって変動します。
3. GRPの正しい計算方法
GRPの計算は、すべてのCMの視聴率を足し合わせるというシンプルな概念です。
基本計算式
GRPは、期間中に流したCMの視聴率の合計です。
GRP = 各CM放送時の視聴率
実務的には、以下の簡略化された式で理解されることが多いです。
GRP = 平均視聴率✖️CMの放送回数(本数)
計算の具体例
| 放送時間帯 | 視聴率 | CM本数(15秒換算) | GRP(視聴率 × 本数) |
| A枠 | 5% | 20本 | 5%×20本=100GRP |
| B枠 | 8% | 15本 | 8%×15本=120GRP |
| C枠 | 12% | 10本 | 12%×10本=120GRP |
| 合計 | – | 45本 | 340GRP |
【注意点】
テレビCMは、基本的には15秒CMを1単位として計算されます。そのため、30秒CMを1本流した場合は「2本分」として計算されるのが一般的です。
4. GRPと関連指標(リーチ・フリークエンシー・TRP)の違い
GRPをより深く活用するために、関連する重要な指標を理解しておきましょう。
- リーチ(Reach:到達率):
CMを1回以上見た世帯・人の割合(%)です。広告がどれだけの世帯・人に「到達」したかを示します。 - フリークエンシー(Frequency:平均接触回数):
CMを見た世帯・人が平均で何回CMに接触したかを示します。
GRP=リーチ✖️フリークエンシー
GRPはボリュームを示す一方で、実際の効果を最大化するには、このリーチとフリークエンシーのバランスを考慮することが重要です。
TRP(Target Rating Point)とは
TRPは「Target Rating Point(ターゲット・レイティング・ポイント)」の略です。
GRPが世帯全体(または個人全体)の視聴率の合計であるのに対し、TRPはあらかじめ設定した特定のターゲット層(例:20~34歳の女性、ビジネスマンなど)の視聴率のみを合計した指標です。
TRP = 各CM放送時のターゲット層の視聴率
| 指標 | 意味 | 測定対象 | 主な役割 |
| GRP | Gross Rating Point | 世帯全体の延べ視聴率 | 広告のボリューム(投下量)を示す基本単位 |
| TRP | Target Rating Point | 特定のターゲット層の延べ視聴率 | ターゲット層への到達度(効率)を示す単位 |
TRPは「狙った人たちにどれだけ届いたか」という広告の効率を示すため、より効果的な広告運用において非常に重要視されています。
5. TVCMにおけるGRPの具体的な活用法
GRPは、主に以下の3つのシーンで活用されます。
- 広告予算の決定とプランニング:
達成したい広告のボリューム(投下量)をGRPで設定し、パーコストから逆算して予算を決定します。 - 競合他社との比較分析:
競合他社のCM投下量をGRPで推測し、自社の広告戦略の規模や優位性を客観的に評価する材料とします。 - 効果検証と改善:
CM出稿後のGRP実績を検証し、目標とした投下量を達成できたかを確認します。目標との乖離があった場合は、CMの内容や出稿時間帯(線引き)を見直すための基本データとして活用されます。
6.出稿後の「効果検証」を見据えた計画の重要性
GRPはCMの投下量を示す指標ですが、広告の真の目的は「売上向上」や「認知度アップ」といったビジネス成果です。この成果を正しく測るために、出稿計画の段階で「出稿後の検証体制」を構築しておくことが極めて重要です。
① GRPと売上の相関関係を検証する準備:
CM出稿期間中およびその前後の売上データ、ウェブサイトへのアクセス数、指名検索数など、ビジネス指標を時系列で整理し、投下したGRPの推移との相関を検証できる体制を整えます。
② リーチ・フリークエンシー実績の評価を見込む:
実際に投下したGRPが、計画通りに視聴者に届いたか(リーチとフリークエンシーの実績値)を評価できるよう、効果測定ツールの導入や分析基準を事前に決めておきます。
③ 次期計画へのフィードバックを前提とする(PDCA):
検証結果から、「どの時間帯のCMが最も売上に貢献したか」を特定し、次の出稿計画へ改善点として活かすPDCAサイクルの組み立てを計画に含めておきます。
7. GRPの理解がTVCM成功の鍵
GRPは、テレビCM出稿における最も基本的な指標であり、広告のボリュームを数値で表す重要な役割を担います。
GRPの計算方法や意味を正しく理解し、リーチ、フリークエンシー、そしてTRPといった関連指標と組み合わせることで、より戦略的かつ効果的なテレビCMの出稿が可能になります。