成果を出すための思考法!マーケティング分析フレームワークの正しい活用ガイド

マーケティング戦略の精度を高めるフレームワーク

「市場や顧客のデータは集めたけれど、次に何をすればいい?」 「どのように整理すれば、具体的な戦略が見えてくるのだろう?」

マーケティング担当者が直面するこの疑問を解決するのが、マーケティング分析フレームワークです。

フレームワークとは、複雑な情報を抜け漏れなく、論理的に整理し、分析結果を導き出すための「思考の型」です。これを使うことで、勘や主観に頼らず、データに基づいた戦略立案の精度を格段に高めることができます。

フレームワーク活用の3つのメリット

  1. 複雑な情報を整理し、全体像を把握できる: 多くの要因が絡み合う市場の状況を、要素ごとに分けて考えられるため、問題の根源を見つけやすくなります。
  2. チーム間の共通認識を作りやすい: メンバー全員が同じ型を使って議論するため、認識のズレを防ぎ、スムーズな意思決定につながります。
  3. 戦略の実行手順を明確にできる: 分析結果がどの戦略に結びつくかが明確になるため、「分析疲れ」を防ぎ、次のアクションに迷うことがなくなります

実践編:戦略策定のプロセス別フレームワーク

マーケティング戦略は、大きく分けて「現状把握・環境分析」「基本戦略(ターゲティング)」「具体的な施策策定」の3つのステップで進められます。

この流れに沿って、実務で必須となる主要なフレームワークとその使い方を解説します。

1. 環境分析フェーズ:現状を把握するためのフレームワーク

戦略を立てる前の「地図作り」のフェーズです。市場の状況と自社の現在地を正確に把握するために使います。

1-1. 3C分析(Customer, Competitor, Company)

項目分析対象主な目的
Customer市場・顧客市場規模、成長性、顧客ニーズの変化
Competitor競合競合の戦略、強み・弱み、市場シェア
Company自社自社の強み・弱み、経営資源、実績
  • 目的と役割: 外部環境(市場・顧客、競合)と内部環境(自社)を総合的に分析し、KFS(Key Factor for Success:成功の鍵となる要因)を見つけ出すために使います。
  • 具体的な手順と使い方(図解):
    • 3Cの要素を客観的なデータに基づいて整理します。特に「Customer」のニーズ変化が「Competitor」と「Company」にどう影響するかを連鎖的に分析することが重要です。
  • (図解イメージ:3つの円が中央で重なり合う構造で、それぞれのCに何を入れるかを示す。)

1-2. SWOT分析(Strength, Weakness, Opportunity, Threat)

項目分類分析対象
Strength内部環境・プラス自社の強み、優位性
Weakness内部環境・マイナス自社の弱み、改善点
Opportunity外部環境・プラス市場の機会、追い風となるトレンド
Threat外部環境・マイナス市場の脅威、競合の動向、リスク
  • 目的と役割: 内部環境(S, W)と外部環境(O, T)を整理し、「強み」を活かして「機会」をどう捉えるか、あるいは「弱み」をどう補い「脅威」を避けるか、という戦略の基礎的な方向性を導き出します。
  • 具体的な手順と使い方(図解):
    • S, W, O, Tの4つのマスに要素を分類した後、クロス分析を行います。特に「強み × 機会」の組み合わせは、最優先で取り組むべき戦略のヒントとなります。
  • (図解イメージ:4つの象限で構成され、S・WとO・Tを組み合わせて戦略(例:S×O戦略)を抽出する流れを示す。)
  • 関連フレームワーク: PEST分析(政治、経済、社会、技術)は、SWOT分析の「機会」や「脅威」を見つけるためのマクロな視点を提供します。

2. 基本戦略フェーズ:誰を狙い、どこで戦うか(STP分析)

環境分析が終わったら、「誰に」「何を」提供するかを具体的に定義します。

2-1. STP分析(Segmentation, Targeting, Positioning)

  • 目的と役割: 市場で自社が優位に立てる場所(立ち位置)を定めることで、経営資源の集中と、競合との差別化を図ります。
項目意味問い
Segmentation市場の細分化どんな基準で市場をグループ分けするか?(地理、年齢、購買頻度など)
Targetingターゲット選定細分化された市場のうち、どこを狙うか?
Positioning立ち位置の明確化ターゲットに対して、競合とどう差別化するか?
  • 具体的な手順と使い方(図解):
    1. S(細分化): まず顧客を年齢、地域、ニーズなどで細かく分けます。
    2. T(ターゲティング): 自社の強みと照らし合わせ、最も収益性の高い市場を選びます。
    3. P(ポジショニング): 選定した市場の中で、競合製品・サービスと比較し、価格品質などの軸で自社が優位に立てる位置をマッピングで可視化します。
  • (図解イメージ:縦軸と横軸(例:価格と品質)で構成されるポジショニングマップを示し、競合と自社の位置を示す。)

3. 施策策定フェーズ:具体的なアクションを決める(4P/4C分析)

STP分析で決定したターゲットと立ち位置に基づき、実行に移すための具体的な施策を設計します。

3-1. 4P/4C分析

  • 目的と役割: ターゲット顧客に価値を届けるための具体的なマーケティング・ミックス(施策の組み合わせ)を検討します。
4P(企業視点)4C(顧客視点)意味
Product(製品)Customer Value(顧客価値)顧客が本当に欲しい価値を提供できているか
Price(価格)Cost(顧客負担)顧客にとって購入にかかる総コストは妥当か
Place(流通)Convenience(利便性)顧客が容易に入手できる場所・方法か
Promotion(販促)Communication(コミュニケーション)顧客との対話は適切に行えているか
  • 具体的な手順と使い方:
    • STPで決めたターゲットに対し、4Pの要素(製品、価格、流通、販促)をそれぞれどう設定するか検討します。
    • 特に、4Pを顧客視点である4Cに置き換えてチェックすることで、施策が独りよがりになっていないかを検証できます。
  • 関連フレームワーク: AIDMA/AISAS(顧客の購買行動プロセス)は、4Pの「Promotion」を考える際に、顧客がどの段階にいるかに応じた適切なコミュニケーション戦略を考えるのに役立ちます。

活用術:フレームワークを使う際の重要ポイント

1. フレームワークの「正しい順番」

フレームワークは単体で使うのではなく、戦略策定のプロセスに沿って順番に使うことで最大限の効果を発揮します。

【戦略策定の流れ】

  1. 環境分析(3C / SWOT / PEST):まず「現状」と「進むべき方向性」を把握。
  2. 基本戦略(STP):次に「どこで戦うか」を決定。
  3. 施策設計(4P / 4C):最後に「具体的な打ち手」を決定。

2. フレームワークの罠:注意すべき3つの落とし穴

分析を無駄にしないために、以下の点に注意してください。

  • 主観的なデータで分析を進めてしまう: 「自社の強み」を分析する際、客観的なデータ(売上、顧客評価など)ではなく、思い込みで判断しないようにしましょう。
  • 分析すること自体が目的になってしまう: きれいな分析シートを作るのがゴールではありません。分析はあくまで行動するための手段です。
  • 結果を「アクション」に落とし込まない: SWOT分析のクロス分析のように、必ず「〇〇のために、〇〇をする」という具体的な戦略や施策に結びつけましょう。

まとめ

マーケティング分析フレームワークは、あなたの思考を整理し、戦略を論理的に構築するための「型」です。まずは、最も基本的な3C分析からスタートし、自社の現状を客観的なデータで整理してみてください。この「型」をマスターすることが、データドリブンなマーケティング成功への第一歩となります。

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村田諒

村田諒

1992年生まれ。 2016年に株式会社キャスターへCMOとして入社し、全社のマーケティング戦略を統括。取締役を経て2023年の東証グロース市場上場に貢献。 2025年よりbfj株式会社の取締役に就任。「bfj scope」のサービス責任者として、経営とマーケティングを接続する新たな認知広告効果のROI可視化を推進。