ブランドリフト調査のやり方を徹底解説|設計から分析まで

認知広告の効果を数値で示したいと考えているマーケティング担当者にとって、ブランドリフト調査は有力な手段のひとつです。しかし「どう設計すればよいか」「コントロール群とはどう設定するものか」「結果をどう読み解くか」といった実務的な疑問は、なかなか情報がまとまっていません。

この記事では、ブランドリフト調査の実施手順を設計から分析・活用まで一通り解説します。ブランドリフト調査の基礎知識についてはブランドリフト調査とは?仕組みと実施方法を解説もあわせてご参照ください。

ブランドリフト調査とは?まず目的と測定指標を確認しよう

ブランドリフト調査を正確に設計するには、最初に「何を測りたいのか」を明確にすることが不可欠です。同じ調査でも、測定する指標によって設計・費用・解釈が大きく変わります。

測定できる3つの指標と使い分け

ブランドリフト調査で測定できる主な指標は次の3種類です。

指標 測定する内容 使うタイミング
純粋想起(Unaided Recall) 「〇〇カテゴリで思い浮かぶブランドを教えてください」と自由回答で聞く。広告を見ていない状態での認知度を反映する 認知度の絶対水準を把握したいとき
補助想起(Aided Recall) 「〇〇というブランドを知っていますか」と選択肢で聞く。既存の認知がある場合に有効 想起率の伸びを測定したいとき
購買意向(Purchase Intent) 「〇〇ブランドの商品を今後購入したいですか」と聞く。態度変容まで追いたい場合に使用 ファネルの深いフェーズを測るとき

目標に合わせて指標を選ぶことがポイントです。「まずブランドを知ってもらう」段階では純粋想起または補助想起を、「購買意向まで態度変容させる」フェーズでは購買意向を重点指標として設計します。

どのフェーズで調査すべきか

調査タイミングは「配信前(ベースライン取得)」「配信中(モニタリング)」「配信後(効果確認)」の3段階が基本です。特に配信前のベースライン取得を省略すると、変化量(リフト値)の算出が難しくなります。

  • 配信前: コントロール群・テスト群双方のベースラインを同時取得
  • 配信中: 中間集計で有意差が出始めているか確認(特に長期キャンペーン)
  • 配信後: 最終リフト値の算出と事業KPIとの照合

ブランドリフト調査の3つの実施方法を比較する

「どの手法でブランドリフト調査を実施するか」は、予算・媒体・精度要件によって変わります。大きく3つの選択肢があります。

プラットフォーム提供のBLS機能

YouTubeのBrand Lift調査(Google提供)やMeta Brand Lift Studyは、広告配信と調査を同一プラットフォーム内で完結できるため、設定がシンプルです。

  • メリット: 広告配信データとの連携が取れる。追加コストがかかりにくい
  • デメリット: キャンペーン規模が一定水準に達しないと統計的有意性を確保しにくい。複数施策を同時配信していると純粋効果の分離が難しくなる

第三者調査サービスの特徴

  • メリット: 媒体を問わず統一基準で比較できる。質問設計の自由度が高い
  • デメリット: 費用が発生する場合が多い。調査設計に時間がかかる

予算・規模別の選び方ガイド

条件 推奨手法
YouTube・Meta単一媒体、一定規模以上のキャンペーン プラットフォームBLS(無料・自動)
複数媒体横断、媒体を問わない比較がしたい 第三者調査サービス
小規模キャンペーン、BLS対象外 自社アンケート or bfj Scopeの分析手法を活用

調査設計の4ステップ(ここが最重要)

ブランドリフト調査の精度はほぼ「設計フェーズ」で決まります。以下の4ステップを順番に実施することで、意味のある調査結果を得られます。

ステップ1 — 対象KPIと測定期間を決める

  • 短期キャンペーン(1〜4週間): 純粋想起・補助想起が中心
  • 中長期キャンペーン(1〜3か月): 購買意向・指名検索との連動も測定

KPIの設計方法については認知広告 KPI 設定方法|フレームワーク完全ガイドもあわせてご覧ください。

ステップ2 — コントロール群・テスト群の設定方法

ブランドリフト調査の本質はA/Bテストです。広告に「接触したグループ(テスト群)」と「接触しなかったグループ(コントロール群)」の意識差を測定します。

  • 設定の基本: 広告配信時に一部ユーザーを意図的に広告非表示にして比較群を確保
  • 注意点: コントロール群とテスト群の属性が偏らないようランダム化する
  • エリア別比較の活用: 交通広告・OOH広告など「接触できない媒体」では配信エリアと非配信エリアを比較する設計を検討する

ステップ3 — サンプルサイズと統計的有意性の確保

  • 目安: 最低でもコントロール群・テスト群それぞれ200〜500サンプル以上を確保することが望ましい
  • Googleのヘルプドキュメントでも、一定のインプレッション数・予算水準に達したキャンペーンでのみBLS実施を推奨している
  • 有意水準: 通常はp値0.05未満(95%信頼区間)を目標に設計する

ステップ4 — 質問文の設計

指標 問い方の例 注意点
純粋想起 「〇〇カテゴリでご存じのブランドをお答えください(自由回答)」 対象ブランドを選択肢に入れない
補助想起 「以下のブランドの中で知っているものをお選びください(複数可)」 選択肢に競合も混ぜてバイアスを防ぐ
購買意向 「〇〇ブランドの商品・サービスを今後利用したいと思いますか(5段階評価)」 尺度を統一し前後比較しやすくする

調査結果の読み方と事業KPIへの接続

リフト値の解釈と業界ベンチマーク

リフト値とは「テスト群の指標値 ─ コントロール群の指標値」です。Nielsen BrandEffect の日本市場データ(2024年)によれば、純粋想起のリフト平均は+2〜5pt、補助想起は+3〜8ptが参考水準です。

指名検索・サイト流入との連動で「行動変容」まで追う

認知広告の効果測定全般については認知広告の効果測定を正しく行う方法も参照ください。

  • 指名検索数の変化: Google Search Consoleでブランドキーワードの検索回数を追跡
  • サイト訪問数の変化: GA4でキャンペーン期間と非期間を比較
  • コンバージョン数・MQL数の変化: 認知広告が獲得施策へのパスを開いているかを確認

プラットフォームBLSだけでは測れない「純粋効果」をどう取り出すか

ブランドリフト調査を実施する企業の多くは、複数の認知施策を同時展開しています。TVCMとYouTubeを同時配信している場合、YouTubeのBrand Lift調査の数値はTVCMの効果も一部混入している可能性があります。これがプラットフォームBLSの構造的な限界です。

複数施策が並行するとBLS精度はなぜ下がるのか

  • 典型的な問題: TVCM・OOH・デジタルを同時配信 → YouTubeのBLSがTVCM効果を一部加算して過大評価
  • 季節要因・競合の広告出稿 → ベースラインが変動し、リフト値が実態と乖離

bfj Scope独自の「ノイズ除去×相関分析」で純粋リフトを測る方法

bfj Scopeは特許取得済み(JP 7630213 B1)のノイズ除去技術を用いて、他施策・市場変動・季節変動の影響を変数化して排除し、特定の認知施策の純粋効果だけを抽出します。分析対象期間は3日〜3か月と短く、従来のMMM(マーケティングミックスモデリング)が必要とする3年以上のデータ蓄積を必要としません。実際の導入事例では、ある自動車メーカー(toC)のYouTube広告でCV154%・ブランドキーワード指名検索167%のリフトを定量化できました。

→ bfj ScopeのBLS補完分析についてお問い合わせはこちら

よくある質問(FAQ)

Q1: ブランドリフト調査の費用はどのくらいかかる?
A: プラットフォーム内蔵のBLS機能は基本的に広告費に含まれる形で利用できます。第三者調査サービスを活用する場合は、数十万〜数百万円程度が目安です。bfj Scopeの分析は規模に応じて個別にご相談ください(お問い合わせページから)。

Q2: 少ない予算・小規模キャンペーンでもブランドリフト調査はできる?
A: プラットフォームBLSには一定の実績が必要です。小規模な場合はエリア比較分析や、bfj Scopeが提供する独自分析手法が有効です。

Q3: 調査結果が統計的有意にならない場合はどうすればよい?
A: 主な原因はサンプルサイズ不足かキャンペーンリーチ不足です。対策として「調査期間の延長」「ターゲット絞り込み」「代替分析手法の検討」の3点が挙げられます。

Q4: ブランドリフト調査とアトリビューション分析は何が違う?
A: ブランドリフト調査は「意識・態度変容」、アトリビューション分析は「行動(クリック・CV)への貢献度」を測定します。認知施策の全体像把握には両方の組み合わせが理想です。

まとめ

  1. 測定するKPI(純粋想起・補助想起・購買意向)と期間を決める
  2. コントロール群・テスト群を適切に設定する
  3. 統計的有意性を確保できるサンプルサイズを設計する
  4. 質問文を指標に合わせて設計する

複数の施策を並行している場合はプラットフォームのBLSだけでは純粋効果が測りにくくなるため、ノイズ除去型の分析手法との組み合わせが有効です。

bfj Scopeは特許取得済みの技術で認知広告の純粋効果を抽出し、事業KPIへの寄与を定量化します。ブランドリフト調査の設計・分析にお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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村田諒

村田諒

1992年生まれ。 2016年に株式会社キャスターへCMOとして入社し、全社のマーケティング戦略を統括。取締役を経て2023年の東証グロース市場上場に貢献。 2025年よりbfj株式会社の取締役に就任。「bfj scope」のサービス責任者として、経営とマーケティングを接続する新たな認知広告効果のROI可視化を推進。